血圧のこと(1)
立冬も過ぎ、本格的な冬の到来を迎え、朝布団から出るのに勇気がいる季節になりました。
諸説ありますが、快眠に適した布団の中の温度は30℃前後といわれており、秋ごろから気温が下がり、寝室の室温も低下してくるので、室温と布団内温度とのバランスもくずれてくるので、“寒い”わけです。
日本の家屋では、真冬には起床時の室温と布団内の温度差は20℃以上になることもあり、寒がりでなくても体にとっては意識、無為意識にかかわらず相当の負荷がかかることになります。特に血圧が高めの方は要注意。急激な寒暖差は脳卒中や心不全にも影響を及ぼします。
これらの疾患の発症も早朝に多いことが分かっています。
血圧は140/90mmHg(拡張期/収縮期)以上で高血圧とされていますが、120~139/80~89mmHgも前高血圧、という概念が導入され、前高血圧の方もてからは、血圧低下に取り組むべき状態といえます。
少し前に米国の心肺血液研究所が、50歳以上9,400人のデータを解析したところ、拡張期血圧を120mmHg未満にコントロールした群では、140mmHgにコントロールした群にくらべ心不全や心筋梗塞が減り、死亡率が27%減少した、という研究内容を公表しました。
高齢者では急激な血圧低下は骨折などの有害事象にもつながるとのことで、国内では議論になっているようですが、現在4,000人以上とされている国内の高血圧患者への治療、予防指針にも影響を与える結果であると考えられています。
自覚症状のない方も含めて、予防への取り組みなど、血圧コントロールによる心疾患予防への認識も高まってくるのではないかと思われます。
さて、冬のお布団の話しに戻りますが、高血圧の中でも前述のような早朝時のリスクが高い状態に“早朝高血圧”というものがあります。冬の起床時の急激な対応低下は血圧の急上昇や免疫機能の低下をもたらすそうです。
高血圧と診断されて血圧を下げるお薬を服用されていたり、減塩食に取り組んでいる方、健康食品で頑張っている方もいるかと思いますが、お薬や食事の管理に加えて、環境の改善もリスクを減らすためには重要な要素といえるでしょう。
起床時にタイマーをセットしておいて、部屋の温度を上げるとか、朝急に布団から出ないで、少しずつ手足を動かして準備運動してから起きる、とか、日常の改善方法もいろいろ示されているようです。
“予防”を実感するには、まずは、自分の状態を知る、ということで血圧の測定など比較的簡単に確認できるところから始めて自身のリスクを“見える化”してみて、やりやすいところから改善に向けた取り組みをひとつずつ試してみる、といったところが感覚としてもとらえやすいところでしょうか・・・
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